贈与税の納税猶予制度

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前項でも書いたように、中小企業の事業承継問題として、自社株の移転の問題があり、それに対して、一定の要件を満たせば、相続時に自社株の相続に係る相続税の一部の納税を猶予する制度がありました。

事業承継をスムーズに行うためには、先代経営者が生前の時から後継者へ自社株を移転することが重要となってきます。従って、自社株移転の際の納税猶予制度は、相続税だけでなく、贈与税にも特例が創設されています。

【手続の流れ】

1.贈与の日の属する年の翌年の1月15日まで

以下について、経済産業大臣の認定を受けるための申請をする「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づき、会社・後継者・先代経営者の要件を満たしていることについて

2.贈与税の申告期限

(1)申告期限までに申告書を提出するとともに、特例の適用を受ける非上場株式 等 の 明 細 や 納 税 猶 予 分 の 贈 与 税 額 の 計 算 に 関 す る 明 細 な ど 一 定 の 事項を記載した書類を添付する。

(2)納税が猶予される贈与税額及び利子税の額に見合う担保を提供する。

【特例を受けるための要件】

簡単にまとめると、以下の要件となります。

1.会社の主な要件

(1)経済産業大臣の認定を受けた中小企業者であること

(2)常時使用する従業員数が1人以上(一定の外国会社株式等を保有している場合には5人以上)であること

(3)資産保有型会社又は資産運用型会社で一定のものに該当しないこと

(4)この会社の株式等及び特別関係会社のうちこの会社と密接な関係がある一定の

会社(以下「特定特別関係会社」といいます。)が非上場会社であること

(5)この会社及び特定特別関係会社が風俗営業会社ではないこと

(6)この会社の特定特別関係会社が中小企業者であること

(7)贈与の日の属する事業年度の直前の事業年度の総収入金額が零ではないこと

(8)経営承継受贈者以外の者が一定の株式(拒否権付き株式)を有していないこと

(9)贈与の日前3年以内に受けた現物出資等資産の割合が総資産の70%未満であること

2.後継者である受贈者の主な要件

贈与の時において、次の要件を満たす必要があります。

(1)先代経営者の親族であること

(2)20歳以上であること

(3)代表権を有していること

(4)受贈者及び受贈者と特別の関係がある者(受贈者の親族など一定の者)で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、これらの者の中で最も多くの議決権数を保有することとなること

(5)贈与税の申告期限まで特例の適用を受ける非上場株式等の全てを保有していること

(6)役員等に就任して3年以上経過していること

3.先代経営者である贈与者の主な要件

(1)贈与前のいずれかの日において会社の代表権を有していたことがあること

(2)贈与の時までに会社の役員を退任すること

(3)贈与直前において、先代経営者及び先代経営者と特別の関係がある者(先代経営者の親族など一定の者)で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、経営承継受贈者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと

4.担保の提供

納税が猶予される贈与税額及び利子税の額に見合う担保を税務署に提供する必要があります。

以上となります。相続税の納税猶予制度と同様に、通常の健全な会社において、代表であった先代経営者が大多数を保有する株式を後継者に贈与することで初めて後継者の株式保有割合が50%を超え、かつ、贈与前から役員として会社に貢献している実績があり、贈与後にきちんと代表になっていることが要件となります。

(参考:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4439.htm)

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