③ 雇用の拡大という成果

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本書では雇用の拡大というアベノミクスの成果についても、短時間労働者が増えただけれであり、正社員はむしろ減少している。また、総労働時間も減少しているため、景気が回復をしているとは言えない、と弾じています。
しかし、これは考察が正しくはないといえます。まず、失業率は2012年に4.33%だったのが、2017年で3.06%まで減少しています。(世界経済のネタ帳より)
また、別紙、正規雇用と非正規雇用労働者の推移のグラフを見ていただければわかると思いますが、アベノミクス当初の平成25年26年においては非正規社員は増えていますが、正規社員は確かに減っています。しかし、平成27年、28年については正規社員も2年で79万人増加に転じました。
つまり、当初言われていた、アベノミクスで雇用が拡大したといっても、非正社員が増えただけで、正社員は減少しているという批判は当たらないことになります。
これは、ちょうどこの時期、団塊の世代が65歳を迎え、退職者が増えることになります。一方、新卒の若者の数は少ないので、自然と正社員数は減少傾向にあります。その中で、非正社員の雇用が増えているというのは、やはり、企業の景気が上向いたことにより、倒産件数も減少し、また、非正規の雇用を増やしているということがわかります。
さらに、ここ2年では非正規雇用だけでなく、正規雇用も増えています。ただでさえも65歳以上の退職者が増えていく中で、正規雇用者数が増えるということは、それだけ、新卒者の正社員としての就職率も上がり、また、今まで非正規社員だった人が正社員にシフトができるようになったということではないでしょうか。
これが「実感なき景気回復」の中で起こった事実だといえます。つまり、アベノミクスの恩恵として大企業と株や資産を持っている富裕層にまず恩恵がいったものの、トリクルダウンは思ったほど伸びなかった。しかし、景気の緩やかな回復の中で、失業率が低下し、新卒者の就職率が上昇、正社員として働ける人が増えたということが言えると思います。

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