⑤ いつになったら一般の労働者にも恩恵があるような賃金アップを伴った景気回復になるのか?

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それには別紙のように、ある程度長いスパンで考える必要があると思います。

そして、現在、7月29日の日経新聞の記事にあるようについに正社員の有効求人倍率が1.01と1を超えました。今までは、パートやアルバイトの有効求人倍率は1.4と1を超えていたのですが、正社員の有効求人倍率は1未満の状態でした。
もちろん業種によって、倍率が大きく違うのですが、正社員の有効求人倍率が1を超えるということは業種を選ばなければ求職者は正社員として職に就けるということになります。そのため、この状況がますます進み、人手不足感が強まれば別紙の通り、必然として企業は正社員を獲得するために賃上げの方向に向かうことになるわけです。
政府がどんなに上からベースアップをするように圧力をかけたとしても、企業経営はそれぞれの経営者が行っていますので、簡単に賃上げには踏み切れませんが、国内の景気が良い状態で、需要がある、生産を拡大したい、事業を拡大したいのに人が足りない、となって初めて賃金は上昇すると言えます。
ここにきて、ようやく実感なき景気回復は多くの人の実感を伴うようになるのではないかと思います。また、単に賃上げだけでは企業の利益が圧迫されてしまいますので、設備投資をして、事業の効率化を図ることにより労働生産性を向上させる必要があることは言うまでもありません。

 それからもう1つ、景気回復とは言っても高度経済成長時代のようなことは期待をしないことです。トマ・ピケティの「21世紀の資本」では、過去300年の統計で、いわゆる先進国といわれる国の実質経済成長率の平均は年1.6%とのことでした。しかも、その半分の0.8%は労働人口の増加による成長によります。
高度経済成長のような成長は後進国が先進国に追いつく時や、戦争で設備が破壊された後の復興時に可能なものですので、今後の日本は労働人口が減少していくなかで経済成長をするには労働生産性を上げながら緩やかな景気の回復を持続できれば良いと考えるべきかと思います。

もちろん、AIなどの大きな技術革新が進めば労働生産性の向上に伴い、経済成長率も高くなるとは考えられますが。

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