⑧ 財政出動は何に使われるべきか?

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さて、シムズ理論により財政出動によりインフレ目標を目指すとしてそのお金の使い道はどこにすべきか、という問題があります。それに対してはスティグリッツ米コロンビア大教授が教育投資の拡大を訴えています。国債というのは最初は赤字国債ではなく建設国債から始まりました。これは、建設国債により使われるダムや道路は建設してから30年、50年と使われるのであるから、その支出も30年、50年にわたって支払えば問題がないであろうという、費用対効果の点から考え出されたものです。
教育国債も同様の考えにのっとり、現在の日本で中学までが教育無償化が実現していますが、高校、大学については入学金、授業料と多大なお金がかかります。これを無償化することによって、今まで高校、大学に行けなかった人にも高等教育をすることができるようになり、その高等教育を受けた子供たちが成人して、労働者になった時により高い給料を稼ぐことができ、将来の日本のGDPの上昇に寄与ができる、それによって、今の国債は返済が可能である、という考え方に基づいています。

⑨ 政府が考える今後の方向性

今年の骨太の方針からは、財政目標に今まで記載されていた2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化と併記して、債務残高対GDP比の引き下げが示されました。2020年度のプライマリーバランスの黒字化はすでに難しい状況にあり、単年度の赤字国債の発行をなくすのではなく、今後、経済成長とインフレの実現によって国債対GDP比の引き下げを目標にすることにより、財政の健全化を目指すという方向にかじを切るのではないかと考えられます。
また、消費税率引き上げも記載が消えています。まだ、どうなるかはわかりませんが、気持ちとしては8%に増税した時の景気の下振れを考えると、景気が完全に回復して、継続的にインフレ率2%を達成するまでは、できれば消費税の増税は先送りし、まずは、景気拡大とインフレ率2%の達成を目指したいのではないかと思います。

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