自筆証書遺言の要件
・遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、これに押印することによって成
立します。
自書
自筆証書遺言は、その名のとおり、遺言者自らが書かなければなりません。字
が汚いからなどの理由から他人に代筆してもらったものは無効です。また、相
続人の口述した内容を他人が筆記したものも、その内容の正確性に関わらず無
効です。
日付
遺言者は自筆証書遺言を作成する場合、必ず日付を書き入れなければなりませ
ん。日付の記載が要求されるのは、遺言者が遺言作成時に遺言能力を有してい
たか否かを判断するためと、二つ以上の遺言がある場合にその先後を決定する
ためです。
日付は、年月日が特定されるものであれば、記載方法に制限はありません。日
付は西暦、年号いずれも使用できますが、「◯年◯月吉日」のような日付を特定
できない表現を使用することはできません。使用すると無効になります。
氏名
芸名やペンネームも遺言者であると特定が可能なら使用可能です。また、氏と
名ともに記載されるのが通常ですが、どちらかだけでも遺言者を特定できる場
合には有効です。
押印
押印のない遺言書は無効です。使用する印は実印である必要はなく、認印でも
構いません。また、指印も有効と考えられています (最判平元2.16)。
押印は遺言者本人によってなされるのが原則ですが、他人が遺言者の依頼によ
り、その面前で押印した場合は有効と考えられます。
(f)加除その他の変更
遺言書に加除その他の変更を加えたときは、遺言者がその場所を指示し、変更
した旨を付記してこれに署名し、さらにその変更の場所に押印しなければなり
ません。
ところが、一般に証書作成手続における加除変更の方式は、変更された場所に
押印し、証書の欄外に訂正した旨を付記して押印して行われることがありま
す。
自筆証書遺言のメリット
・文字が書ける人なら誰でも作成可能
・費用がかからない
・作成の事実を誰にも知られない
デメリット
・チェックする人間が必要ないため、内容によっては不備とされ無効になる
・偽造、変造や紛失のおそれがある