相続時精算課税制度の適用ポイント

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生前の贈与について2500万円まで非課税となる相続時精算課税制度ですが、一度適用すると暦年贈与(年110万円非課税)が使えなくなるといったデメリットもあります。

どのようなケースの場合にこの制度が適しているかなど、相続時精算課税制度の適用ポイントを見ていきましょう。

 

(1)価値が値上がりするものを贈与する。

相続時精算課税制度は、相続が発生した際に「贈与時の価額」で評価するといった特徴を持ちます。つまり、土地や株式などで、贈与時より確実に価値が上がるであろうものについて、この制度を適用すれば、値上がりした相続時の評価額ではなく、値上り前の低い評価額で相続税の計算をすることになり、その分の節税が可能になります。ただし、贈与時より価値が下がってしまっては、逆に損する可能性もありますので、「確実に価値が上がるもの」を贈与することがカギとなってきます。

(2)評価を下げてから贈与する。

(1)同様に「贈与時の価額」で評価するという特徴を利用します。株価などある程度意図的に評価を下げることができるものについて、贈与前に評価を下げてから贈与することで、低い評価額で相続時に計算されることになり、節税が可能となります。ただし、金額にもよりますが、露骨に評価額を下げてから相続時精算課税制度を適

用して贈与するという行為は、税務当局から「行為計算の否認」を食らう可能性もありますので、注意が必要です。

(3)収益を生むものを贈与する。

不動産物件を保有し、家賃収入がある場合には、その物件の贈与は当該制度に適しています。例えば、ある親が年間1000万円の家賃収入がある物件(簡易的に経費等は考慮しない)を亡くなる10年前に相続時精算課税制度を使って子に贈与した場合、その10年間で1億円の収入を親ではなく子に移転できたことになります。本来であれば、その収入分の1億円が相続時に相続財産となってしまうところをこの制度を適用することにより、相続税がかからずに移転できたことになります。ただし、この制度の非課税枠は2500万円ですので、ある程度時価が下がった物件でないと非課税枠を超えて贈与税がかかる可能性もありますので注意が必要です。

(4)あげたいものをあげたい時にあげたい人へ贈与できる。

相続時精算課税制度を適用するということは、被相続人がまだ生前に自分の意思で贈与できるということが大きなメリットでしょう。贈与のタイミングや贈与する相手、贈与するものも自分の意思で決めることができるという点が大きなポイントであり、これは相続にはないメリットと言えるでしょう。

以上となりますが、事業承継が絡む場合などは株式の移転が非常にネックとなりますので、上記(2)が重要となってきます。法人の経営者の方で、子に事業を承継させる予定の方は、一度税理士に相談することをお勧め致します。

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